今月のおすすめ

由良町で生産される「木成り八朔」「さつき八朔」の特徴は、果実を樹に実らせたまま冬を越し、春先に収穫・出荷される点です。年明けまで樹上で完熟させることで、絶妙な糖度バランスを創りあげています。3月に店頭に並ぶ八朔は「木成り八朔」、4月以降に収穫・お届けする八朔は「さつき八朔」と呼ばれています。 

美味しさの秘密

果実が冬を樹の上で越すことができるのは、海に面した地形にまちが位置し、暖流黒潮の恩恵を受けることができるからです。気温が氷点下を下回る日数が少なく、雪や霜の影響を受けにくいのです。3月以降に収穫された八朔はそのまま撰果場に集荷されます。ひとつひとつを果実の大きさや外観を選別し、ランク分けされ箱詰めします。

さつき八朔の誕生秘話

数十年前、年明けの収穫時に見落とされていた八朔が5月頃、木になったまま発見されたことが始まりと言われています。4月以降に収穫する八朔の味は今までにない美味しさだったことから、由良町では樹に実らせた状態で春を迎えさせる技法が使われるようになりました。「さつき」の名前もこの誕生秘話から名づけられています。樹上で完熟させる技法は春の強い風で樹から果実が落ちてしまうことや、樹勢への影響もあるため、繊細に育てられています。 

由良町自慢の八朔

初めて由良町の木成り八朔やさつき八朔を食べた方が口にするのは「これが八朔か。」という言葉。年内に収穫を終え追熟された八朔と、完熟してから収穫する八朔では、品種が同じであってもそれぞれの美味しさがあります。3月以降に収穫される八朔の味について「八朔が少し苦手だな。と感じている方も、おすすめできる味の濃さと果汁の多さです。」とゆら柑橘撰果場の川口さんはお話してくださいました。

ゆら柑橘撰果場とJA紀州のプロモーション戦略

東京や大阪の販売店へ出向き、試食販売をする消費宣伝など、積極的なPR活動を生産者と取り組んできたゆら柑橘撰果場とJA紀州。コロナ禍で現場へ行くことはできなくなってしまいましたが、プロモーション活動は時代に合わせて変化し、今も継続されています。由良町の農家が八朔の魅力を伝えるビデオレター形式の動画や、八朔を食べやすくするために発案された「ゆら剥き」を紹介する動画、美味しい八朔の選び方を紹介する動画など、毎年新たな手段を模索しています。